この研究は2年計画で行う予定である。平成6年度においては、ライフスタイルを考慮したアンケートによるトリップ調査を実施する準備として、研究代表者がこれまで実施したトリップ調査の再整理を行った。また、これらの知見をもとにしてアンケート調査を実施した。その結果、得られた知見として、 1.高齢者のモビリティ層は自動車を利用する就業者層と公共交通を主に利用する無職者層及び、自動車を含めた通常の交通手段を利用するのに困難を伴う身体不自由層に大きく分割された。 2.高齢者は行動意欲の強い新しいタイプのグループと行動意欲の必ずしも高くない従来型のタイプとに大別される。前者は交通活性が高いが、後者は低い傾向にあり、その差はかなり大きいことがわかった。今後、前者のグループが急増することを考えて、多様な交通サービスの展開が必要となる。 3.2.におけるいずれのグループの高齢者も交通活性を高める条件として、歩行空間の対応が必要であることが確認された。主な内容としては、徒歩に対して困難を伴っている高齢者は歩道上において、休憩施設としてのベンチや徒歩を補助する道具として、手すりを設置してほしいという願望が強いことがわかった。また、歩道上にベンチをおく間隔として、100m程度が適当な間隔であることがわかった。 これらの知見をもとに平成7年度においては、高齢者の生活様式が変化することによる、交通需要の将来予測とモビリティ評価を計画論・評価論・設計論の観点から深めてゆく予定である。
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