わが国の下水汚泥発生量は1990年度に年間で250百万m3に達した。汚泥発生量は下水道の普及伴い増加し、高度処理の実施によっても更に増加する。今後、多数建設される小規模下水処理場の汚泥の処理・処分も問題になる。一方、急速ろ過システムによる浄水処理工程で発生する上水汚泥の処理も埋立地の確保が困難な上に管理型埋立を要請される状況にあり、今後も現行の処分法を継続することが困難である。更に、水道水源の水質劣化に伴う高度浄水プロセスの導入による上水汚泥の質・量の変化も見込まれている。本研究では、上水汚泥や小規模下水処理場で発生する汚泥を、幹線下水管渠に直接放流して、末端の大規模下水処理場で一括処理することを目指したものである。本年度は下水管により輸送された上水汚泥が下水処理場の最初沈殿池でその他の下水に含まれるけん濁物と共に沈殿さた場合の上・下水混合汚泥の濃縮性と脱水性について検討した。研究成果をまとめると以下のようである。 (1)上・下水混合汚泥の沈降性と濃縮性は上水汚泥のALT比と混合比の影響を受ける:ALT比が1/50以下の上水汚泥の混合比を上げる程、混合汚泥の濃縮・脱水性は向上する。ALT比が1/25以上の上水汚泥は最適の混合比がある。 (2)上・下水混合汚泥の沈降性と濃縮性は混合汚泥の攪拌条件の影響を受ける:ALT比が低い上水汚泥を混合する場合は、強度を低くして10分程度攪拌すれば良い。ALT比が高くなると、攪拌の影響が小さくなる。
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