南極マクマ-ドドライバレイ地域の湖水などから、好気的条件下で平板塗抹法と単集落分離法を併用し純粋分離株を得て酵母の分類を行なった結果、総数26株が分離された。これらの酵母は、0〜30℃に生育し、20〜30℃に至適温度を持つ株が多かったが、40℃以上ではほとんど生育がなく一方、10℃前後に生育範囲を持つ特異に菌株が認められ、Candida psycrofermentans sp.nov.と命名した。 C.psycrofermentans sp.nov.は、10〜15℃が最適生育温度であるが、0〜5℃においても、増殖速度が若干低くなるものの10〜15℃同様の菌体量の生育が観察された。 TOC濃度約6800mg/l、Kj-N濃度約640mg/l、Total-P濃度約145mg/lの人口下水を、MLSS初濃度約2000mg/lで液温0℃および5℃処理したところ、3日間の培養でTOC約75〜80%、Kj-N約80%、Total-P約98%の除去率が得られ、高負荷の有機性排水処理への応用が可能であるものと考えられた。また、TOC 1gあたりの菌株生成量は約0.9gであった。菌株の窒素含量は6.7%、粗蛋白換算で約42%であり、回収される菌体のバイオマスとしての利用が期待される。
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