本研究では、廃棄物埋立処分場での水移動で重要な役割を果たす水みち流れを検討対象とした。本年度の具体的目的とその成果は以下である。 1.模擬廃棄物層の透水性と流出応答特性の検討 模擬廃棄物は、粒子状物質とフィルム状物質の混合物とした。実験により、フィルム状物質の混在により透水性、流出応答がどのように影響されるかを検討した。また、多数回の測定での結果のバラつきも検討した。その結果、フィルム状物質が混在すると透水係数は体積含水率の影響を受けやすく、また流出応答が遅くなることが明らかとなった。これは層中の水の連続がフィルム状物質によって寸断されるためと考えられた。また、その他に、体積含水率と透水係数の関係にヒステリシスがあること、無水分状態で混合したときには透水性測定のバラつきが大きくなることも明らかとなった。 2.水みち流れによる汚染物質の広がりの検討 実験により、不飽和粒子層中に水みち流れが生じたときの汚染物質の広がりを検討した。また、水みち流れの形状をフラクタル次元で評価した。その結果、水みち流れ生成の有無は空隙中での重力と毛管力の影響を比較することで判断できること、汚染物質の広がりは水みち流れの中の移流が主要因であり拡散の効果は相対的には小さいこと、水みちのフラクタル次元は空隙が大きくなるほど小さくなることが明らかとなった。 本年度は、水みち流れの検討を粒子層で行った。次年度は、その方法を模擬廃棄物層に適用して、より実際の廃棄物に近い状態で水みち流れの影響を検討する予定である。
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