本研究では、廃棄物埋立処分場での水移動で重要な役割を果たす水みち流れを検討対象とした。本年度は、焼却灰中にフィルム状物質が混在する廃棄物を想定し、大きな面が流れに対する障害となる不飽和層での実験と、「水みち浸入モデル」によるシミュレーションを行った。その結果は以下である。 1.障害面が存在する不飽和層での実験 (1)障害面が存在するとき、毛管力による水平方向移流により面の陰の部分にも溶質が浸透する。浸透範囲は、粒子間空隙が小さいほど、面が鉛直に近いほど大きい。 (2)障害面により形成される水みちはそれぞれ濃度変化が異なり、そのため流出位置により濃度変化が異なる。 (3)水みち毎の濃度変化の差は、各水みちと非可動水との接触条件の差によると考えられる。粒子間の空隙が小さいと水みち同志が接触し、濃度が均一化され、この差は小さくなる。 (4)水みち毎に流出量・濃度の時間変化が異なることにより、全体の流出水濃度変化は、見かけ上非対称になる。 2.「水みち侵入モデル」によるシミュレーション (1)重力と毛管力の複合力で水みちが形成される「水みち侵入モデル」は、面の陰の部分への浸透を再現できる。しかし、このモデルでは面に沿った流れを考慮していないため、浸透範囲は実験よりも小さくなる。 (2)シミュレーション結果によると、空隙が小さいとき、流量が大きいときに、非可動水の比率が小さくなる。
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