研究課題/領域番号 |
06650623
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福和 伸夫 名古屋大学, 工学部, 助教授 (20238520)
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研究分担者 |
多賀 直恒 九州大学, 工学部, 教授 (40023080)
今岡 克也 名古屋大学, 工学部, 助手 (20193667)
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キーワード | 根入れ効果 / 杭基礎 / 前後面土圧 / 側面摩擦力 / 水平力分担率 / 振動モード / シリコン地盤模型 / 振動台実験 |
研究概要 |
本研究の目的は、シリコン模型地盤を利用して、基礎種別、根入れの有無・上部構造の階数をパラメータとした模型振動台実験から、地震時地下部に作用する水平力や動土圧の耐震設計評価を実証的に確認することであった。 動土圧計測装置が備わった根入れ部模型を作成して、基礎固定時の根入れ基礎、根入れの有るベタ基礎、根入れの有る杭基礎、で各種の実験を実施し、得られた結果を以下にまとめる。 1.基礎の動的相互作用ばねは建物の固有周期・スウェイ率・ロッキング率などの振動特性に大きく影響を及ぼし、杭の効果は主にロッキング動に、根入れの効果は主にスウェイ動に対して大きいことが判明した。 2.上部構造の固有周期が地盤より長い場合、地震力作用時の基礎部の水平力分担に対する根入れ効果は、主に前後面土圧が抵抗力として有効に作用し、ほぼ耐震設計指針どおりに杭頭に作用する水平力は低減することが確認できた。 3.上記と逆に、表層地盤より上部構造の固有周期が短い場合、地盤の1次固有モードが支配的な長い周期域では、基礎根入れ部、特に前後面土圧は表層地盤の増幅により入力として基礎を押すように作用し、杭頭に作用する水平力は増大することが判明した。この結果は、従来の静的な解析で得られた耐震設計指針に記述していないものであった。 4.上部構造の固有周期が表層地盤のそれと近接する場合には、上部構造の支配的な振動モードでも表層地盤の増幅効果によって、基礎根入れ部による杭頭に作用する水平力の低減効果は耐震設計指針よりも低減することが判明した。 現在、この振動実験を有限要素法によってシミュレーション解析しており、両者の結果から、建築基礎形式の違い、根入れの有無、上部構造と表層地盤の固有振動数の大小関係、が建築物の振動性状や地震時の作用外力性状に及ぼす影響をより明確に把握することが可能になると思われる。
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