研究概要 |
正方形断面を持つ鉄筋コンクリート部材のせん断破壊実験を行った。昨年度の実験により,鉄筋コンクリート梁のせん断破壊面は立体的に構成されることが確認されている。しかし載荷方向の違いは考慮されていない。そこで,本研究では補強筋量の違う鉄筋コンクリート部材を2体ずつ計4本作成し,成荷載方向の違いによるせん断強度への影響を上界定理を用いて検討した。解析にはコンクリートの内部仕事をより小さくするような,曲面型の立体破壊面の解析モデルを使用した。 試験体は補強筋量(pw0.63%,0.99%)の違う鉄筋コンクリート部材を2体ずつ,計4体作成し,補強筋量が同じ試験体について載荷方向(0度,45度)を変えた。載荷方法は2台の油圧ジャッキと2つの反力点からなる逆対称曲げ方式とした。試験部分には,打設の際にあらかじめ32(4×8)本にピアノ線を40mm間隔で試験部分に通した。ある程度コンクリードが固まったところで,ピアノ線を抜いた。試験体を最大変形させたところでいったん載荷重を中断し,エポキシ塗料をピアノ線によってあけられた直径1mmの孔へ注入した。注入終了後20時間おいて試験体を除荷した。また除荷後,試験体を長手方向に二カ所(45度は1カ所)幅方向に3カ所切断し,ひび割れの様子から部材の内部の破壊状況を確認した。これにより鉄筋コンクリート部材は載荷方向に関わりなく立体的に破壊しており,せん断強度は載荷方向の影響をほとんど受けないことが確認された。
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