研究概要 |
本研究は、平成6年度に引続き、4枚板外ダイアフラム形式(以下、本形式)を用いた鋼構造建築物の柱梁接合部の復元力特性を解明することとしている。ダイアフラム形式は本形式2タイプ(中柱タイプと側柱タイプ)と従来の外ダイアフラム形式(以下、従来形式)1タイプ(中柱タイプ)とした。そして今年度の実験パラメターはこのダイアフラム形式と充填コンクリートの強度(Fc=210kg/cm^2-中強度,450kg/cm^2-高強度)とした。実験は柱に一定軸力(N/Ny=0.3)を与えながら。梁端に逆対称漸増繰り返し荷重を加えて行った。試験体各部の寸法は、従来形式試験体が局部破壊しないように設計し、それとはぼ同等の局部破壊耐力を持つよう本試験体を設計した。本形式の局部破壊耐力は、当研究室で以前に行った単純模型引っ張り実験により得られた耐力推定式を用いて計算した。 破壊形式は、充填コンクリートの強度の如何に拘わらず、接合部パネル座屈、梁フランジ座屈の2種類であり、本形式の試験体において、梁フランジとダイアフラムで形成される入隅部に応力集中が見られるものの、その部分の局部破壊を生じた試験体は一体もなく、また履歴ループにおいても、従来形式の試験体に劣らず安定した紡錘形を示した。破壊耐力の計算値と実験値の対応もおおむね良く、本形式のダイアフラムを用いても、各部材は期待どおりの耐力と変形能力を有することが分かった。ただし充填コンクリートが高強度の場合、中強度に比べ、変形能力でやや劣ることが分かった。
|