研究概要 |
本研究は,任意形状の風速分布を風洞装置内でシミュレートする技術開発とこのような風速場での乱流特性を明らかにすることである.本年度においては以下の点が完了あるいは明らかになった. 1)本研究の実験装置である正層格子の作成を完了した. 2)正層格子は,各格子板を風洞壁面外から稼働できるように工夫した。このことにより,風速分布形状の調整効率を大幅に上げることができた.現時点では,この調整作業を手動で行っているが,電動装置の付設により更なる効率化が可能である. 3)正層格子を用いた風速分布は,平均風速において一定勾配分布,べき指数分布の他,収束域などで見られる特異な風速分布を作成できる.しかしながら,形成できない分布形状も存在し,次年度において本装置での適用限界を確認する必要がある. 4)一定勾配の直線分布では,乱れの強さの分布形状もほぼ直線形状を示した。このときの正層格子の開口面積の分布は必ずしも直線比例ではなく,微妙な配置調整を必要とする. 5)べき指数分布では,一定勾配分布時以上の格子開口面積比の調整を必要とし,風速分布形状は開口比に敏感に反応する.この場合の乱れの強さの分布は,平均風速の分布形状にほぼ対称性を示す. 6)乱れのスケールの分布は平均風速の分布形状に対応する。これは,本研究に関連して行った強風時観測の現場計測の結果に対応しており,本装置が風速のにならず実際に風速場での乱れのスケールの分布にも対応できることを示すものである.
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