研究概要 |
1.長崎市は1982年7月に豪雨災害を、1991年9月には台風19号による強風災害を蒙っている。また、同じ県内の島原市では数年前から雲仙普賢岳の火山災害にたいへん悩まされているところである。その様な事情もあり、また今般の兵庫県南部地震による神戸市の激甚災害の教訓をまつまでもなく、神戸市と同様に斜面住宅地が市の面積の大半を占めているという立地条件もあいまって、斜面都市の災害危険度に関する事前評価の課題は焦眉の課題となっている。本研究は、この課題に取り組むべき方法として、地理情報システムを活用した災害危険度評価の方法を用いた評価手法の開発を試みたものである。 2.そこで、災害危険度評価に必須の各種地理情報データを収集し、これらを東西300m×230mの合計約3,600のメッシュ毎に整理し、これらをコンピュータのディスク上にGISデータベースとして構築した。また、建築物・土木構造物の分布状況、ライフラインのネットワーク敷設状況、人口分布や年齢構成・居住年数等の居住者に関する特性、危険物取扱施設や非難場所の分布状況など、各種資料についてもコンピュータのディスク上にデータベースとして構築した。また、地理情報としてボーリング柱状図は重要なデータであるが、長崎市内約800地点における地盤資料を収集し、コンピュータによる検索システムを作成した。 3.上記の各種データベースを用いて、地盤危険度・構造物危険度・ライフライン危険度(今年度は上水道システムを対象とした災害危険度)及び人的災害危険度の評価について、それぞれの評価手法のアルゴリズム作成の試みを行った。ただし、現時点においては、各種データベースの重み付けに関し任意性が残っておる実状にあり、より客観性を有する評価手法の開発が今後の大きなテーマである。
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