1.屋外の局所空間に形成される夏の微気候調査 (1)吸気式の温度プローブと湿度センサーによる移動計測結果を重ね合わせ、温湿度の空間分布の時間平均をとることで、屋外の局所空間に形成される微気候の特徴把握を可能とした。 (2)本観測法による屋外の微気候調査より、水辺や樹木周りには周囲に比べて低温・低湿度の空気があり、それがわずかながら周辺に流れ出ている様子が知れた。 (3)一般に、樹木が冷気をつくりだしていると思われがちであるが、観測結果からは日射を受ける樹木周りに形成される温湿度むらに基づく対流が、上空の低温空気を樹陰に引き寄せていると考えられる。 (4)また、蒸発冷却により水面が冷気を生み出すよりも、むしろ低温の水面が上空冷気の降り口になっている可能性が高い。 (5)しかし、そよ風の源となり得るこの冷気は、日向地表付近の温気に乱されてすぐに散逸しており、広く周囲に及んではいない。 2.冷気の水平誘導の可能性の検討 日除けや散水によって地表の一部を低温に保ち、これを冷気の誘導路として下降冷気を建物近傍や屋外の憩いの空間に導く手法とその効果を、屋外の実空間と模型観察より検討する。
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