屋外の微気候(マイクロ・エリア・クライミット)の観測には、日照下での気温計測や室内よりもはるかに広い範囲の空間分布計測が求められるが、本研究で開発・使用した磁気センサーと空気温湿度分布の自動計測法が、その基本性状の把握には非常に有効であることが確認された。 また、外の爽やかさに大きく関わっていると思われる気流は、流れの複雑さや変動の大きさゆえに、その流れ自体を捉えることはかなり困難であるが、空気温湿度より算定した、空気密度あるいは比容積分布の時間平均を取ることによって、熱対流型の平均的な流れの特徴を捉えることができた。これに、水蒸気をトレーサーとした気流推定を合わせて、屋外の空気流れの定性的な把握が可能であることを明らかにした。 しかし、外の爽やかさは、気流速だけでなくその変動自体が大きく関与している可能性が高い。この「変動と爽やかさ」の関係については、本研究を契機に、今後も検討を重ねる予定である。 木影の涼しさについては、一般に樹木自体が冷気をつくりだしていると思われているが、その冷気は樹木日向側の上昇気流に誘引された上空冷気の下降流であることが知れた。 「繁みからの滲み出し冷気」はこの下降冷気流が横方向に押し出されたものであるが、通常は日向の地表付近ですぐに暖められて散逸し、その到達距離は非常に短い。樹冠や疵の影を連続させたり、水面や散水などで冷気の下降点に連続する地表を低温に保って冷気の到達距離を大きく伸ばすことで、それを建物周りや散歩道などに導く「そよ風の道づくり」が可能となることが知れた。
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