1.調査概要 (1)北海道での緑樹帯の効果に関する調査 苫小牧市の道道苫小牧環状線沿線の緑樹帯が設置してある地区を選定し、263の戸建て住宅を対象として道路交通騒音の不快感に関するアンケート調査を行った。緑樹帯側130戸、緑樹帯のない側は133戸であった。アンケート調査後、道路沿線での終日測定および調査住戸の約20%を対象とした道路からの減衰量測定を行い、騒音減衰量の予測式を作成した。 (2)九州での防音塀の効果に関する調査 熊本市周辺の九州縦貫高速道沿線の戸建て住宅265戸を対象として同じアンケート調査を行った。道路に面して防音塀の設置してある住戸は173戸、ないものは92戸であった。アンケート終了後、高速道路沿線で終日測定を行い、それとは別に防音塀の設置してある地区とない地区で距離減衰を測定して、各住宅の騒音暴露量を推定した。 2.調査結果 騒音の暴露量と騒音の不快感の関係を緑樹帯および防音塀の有無によって比較すると、ともに有意な差が見られ、緑樹帯および防音塀がある方が明らかに不快感の反応が低かった。緑樹帯や防音塀があると同じ騒音暴露量でも反応が小さく、このことはこれらによる騒音源の視覚的なマスキング効果の存在を示唆している。 今後、もう少しデータ数を増し、安定した反応傾向を得るとともに、どのような要因によって不快感が低減しているのかを詳しく分析する必要がある。
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