1.調査概要 道道苫小牧環状線沿線で緑樹帯のある地区とない地区、九州縦貫自動車道沿線で防音塀のある地区とない地区を選定し、道路交通騒音に対する不快感の緩和効果を調査した。回答者総数と有効回収率は、緑樹帯の効果に関する調査でそれぞれ268、92.4%であり、防音塀の効果に関する調査で387、79.5%であった。 分析結果 緑樹帯の有無および防音塀の有無によって、騒音の暴露量(L_<ep>)と反応(%very annoyed)との関係を比較した。緑樹帯や防音塀のある地区の反応はない地区と比べて有意に低く、騒音対策としてこれらの有効性が確かめたれた。 さらに、緑樹帯や防音塀の有無による騒音の不快感の反応構造をパス解析によって分析し、どのような要因が騒音の不快感へ影響しているかを検討した。緑樹帯の効果に関する調査ではその有無に関わらず、排気ガスと住宅の振動の効果が大きく、これまでの筆者らの一般道路での調査結果と一致している。緑樹帯のある側では道路の安全性の効果が大きく、緑樹帯が住民に安心感を与えていることを示唆しているが、緑樹帯のない側では普段の睡眠状態や騒音の敏感さ、L_<ep>の効果が大きかった。 防音塀の効果に関する調査ではその有無に関わらず、覚醒、イライラの効果が大きく、高速道路では夜間に交通量が多いことに起因している。防音塀のある地区ではTV聴取妨害の効果が大きく、視覚的に音源が見えない分、相対的に聴覚的な効果が大きく現れたものと考えている。防音塀のない地区では騒音の敏感さ、L_<ep>の効果が大きく緑樹帯と同様の結果が得られた。このことは直接音源が見えることによって音源の物理特性を代表しているL_<ep>や音源に対する態度の効果が大きくなったものと考えられ、これらの遮蔽物の視覚的効果の重要性を示唆している。
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