従来から都市表面から大気中に拡散される顕熱量を測定によって求めていた。さらに潜熱量も精密に測定することによって、精度高く求めることができるという結論に達した。大気中に拡散される熱量はヒートアイランドを形成するが、その予測には熱量と拡散係数が必要である。都市域の拡散係数がわかれば、地表面から放散される熱量をインプットして、ヒートアイランド強度を予測できることになる。 本年度は大気中を流れる垂直の熱流を測定しておき、同時にセンサー上下の温度を正確に測定する装置を試作した。熱流を温度差で除すれば拡散係数が求まることになる。熱流は渦相関法と呼ばれるもので、超音波風速計と高感度極細熱電対によって測定する。すなわち0.1秒間隔程度の短い周期で上下の風速変動と温度変動を測定して、掛け合わせることによって大気中を上下に流れる熱流が測定できる。センサー上下の温度差は0.01℃程度の精度が要求され、熱電対を20回程度、直列に接続させて、mV出力を測定した。今回の実験では、まだ出力が不安定で精度のよい測定ができなかった。その理由は熱電対の接続に電気抵抗があり、出力される電圧を不安定にさせているものと推定された。また絶対温度を1本の熱電対で測定するという計測器も試作したが、夜間や日射量の少ない日中では測定が難しいことがわかった。 今後は熱電対の製作に注意を払い、安定した電圧になるようにすることが課題である。またこの測定器を都市や緑地に設置して、各土地利用別に熱流を測定し、拡散係数を実測から求めるようにしたい。
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