研究課題/領域番号 |
06650670
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅野 實 東北大学, 工学部, 教授 (10005366)
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研究分担者 |
小野田 泰明 東北大学, 工学部, 講師 (00185654)
本間 敏行 宮城工業高等専門学校, 教授 (10125205)
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キーワード | 地域施設 / 総合的評価手法 / 文化ホール / 痴呆性高齢者施設 |
研究概要 |
1.まず、文化ホールの事例として宮城県北部の「登米祝祭劇場」を対称に、音響調査や運営調査を含めた総合的な調査を実施した。その結果、(1)楽屋からステージまでの動線が分かりにくいこと、舞台袖が狭いことなどの使用上の問題が明らかになり、さらに、(2)バルコニーの下はよく聞こえないこと、客の入により、また楽器の種類により音響評価が異なること、などの音響計画上の問題が明らかになる一方で、(3)住民の多くを惹きつけ不思議な魅力をもつホールとして好意的に受け止められていることなどを知った。これから総合的な評価手法の基礎的知見を得るとともに、その手法確立の必要性を再認識することになった。 また、最終年度に当り、これまでの研究を総括する上での補助調査を、今日、社会問題の1つとなっている痴呆性高齢者の入所施設「仙台市茂庭台豊齢ホーム(老人保健施設痴呆専門棟)」「仙台基督共育児院シオンの園(特別養護老人ホーム)」で行った。調査員が介護人になりすまして痴呆性高齢者の一人ひとりの行動を観察した。その結果、(1)居室と共有スペース(食堂など)との物理的な位置関係や見通しの得られやすさなどの空間相互のつながりが、痴呆性高齢者の行動に著しく影響を及ぼすこと。(2)これまでの計画論では見過してきた、アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆の疾患による行動特性の差異を予感し得る観察結果が得られたこと。(3)施設計画においても家庭的な特質を保持すべきこと、物理的環境が痴呆の進行を抑止するなど治癒的手段にとって有効であることを前提に、痴呆性高齢者の諸特性に十分配慮した施設計画手法の構築が急務であることなど評価手法確立の基礎的知見を得た。
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