土地区画整理事業において、地権者の同意を得るという過程が必須である。このとき地権者に不満が生じないような評価方法を考えると、画地形状評価関数は優加法性を有すると仮定することが適切である。本研究では主として、(1)世田谷区の独立住宅用画地形状データを地理情報システムで処理した実証分析、(2)島状長方形画地・一方向接道長方形の画地の評価関数形の導出、(3)旗竿状画地の評価関数形に関する理論的考察、の3点を行った。 (1)の研究では、枢要画地形状存在仮説を世田谷区のデータを用いて実証分析し、住宅要画地においては画地の評価を絶対的に左右するような特定の形状の土地スペースというものが存在しないことを示した。 (2)の研究では、適切性の公理体系に適合するような評価関数形を長方形画地のみに限定した場合について導出した。 (3)の研究では、旗竿状画地の評価は一方向接道長方形画地の評価方法と長方形島地の評価方法を組み合わせれば良さそうであることを理論的に検討した。しかし、適切性公理の中の付加画地限界連続性公理・根源画地限界連続性公理(評価関数の「微分」可能性を示すための十分条件)がやや必要以上に厳しい条件であり、この公理を緩和すべきことが理論的に判明した。
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