研究概要 |
本年度は,日本の伝統的空間をスキーマ・グラマ-によって記述し,その特徴を抽出することを,町家と茶室について実施し,一方,コンピュータを活用して,スキーマ・グラマ-により建築平面が導出可能であることを確認するアルゴリズムの開発も行った。その内容を下記に示す。 1.町家平面のスキーマ・グラマ-分析 総計87の町家について平面図(復元平面図),建築場所,建築年,写真等の資料を収集し,収集された資料を元に,スキーマ・グラマ-を抽出した。抽出されたスキーマ・グラマ-により,(1)各町家平面の導出可能性を調べた結果73の町家平面については導出可能であること,(2)使用ルールの特徴から時代を経るに従って「ハナレ」の充実されることが明らかとなった。 2.茶室平面のスキーマ・グラマ-分析 総計100の茶室建築の平面図,建築年,設計者を,資料としてデータベース化し,この資料を元に,スキーマ・グラマ-を抽出した。抽出されたスキーマ・グラマ-により,(1)主要な茶室平面が導出できること,(2)いわゆる武家の茶室と呼ばれる茶室の開口の多いことと逆勝手となることには空間構成上関係のあることを見いだした。 3.スキーマ・グラマ-の人工知能を活用した分析法の開発 簡単な平面構成の場合に,人工知能言語prologを活用して,与えられたスキーマ・ルールから各建築プランの導出可能性を確認するためのアルゴリズムを作成した。
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