1.研究の目的 痴呆性老人介護施設において、痴呆性老人が自立的に快適に過ごすための生活環境にあり方を探るために、施設空間の分かり易さについて検討することを目的とする。本年度においては居室把握の能力と方法、および研究方法の検討を目的とした。 2.研究の方法 痴呆性老人専用特別養護老人ホーム2施設において、対象者へのヒアリング調査および行動観察調査を試行実施した。自立歩行ができかつ会話等の意志疎通がある程度できる入居者合計17名を対象に、食堂・デイルーム等自分の居室から離れた場所で質問し、【.encircled1.】会話だけで、【.encircled2.】平面図や写真を示して、【.encircled3.】さらに居室に案内してもらうという方法で、居室把握の程度および手がかりをとらえた。 3.研究の主な結果 (1)居室把握の方法に、【.encircled1.】完全に把握できているタイプ、【.encircled2.】場所の空間的特徴で把握しているタイプ、【.encircled3.】居室が和室であるなどの空間情報で把握しているタイプ、【.encircled4.】居室の位置がある程度分かっていて名札等で確認するタイプ、【.encircled5.】ひとつずつ部屋を見て回るタイプ、の5つのタイプが見出された。 (2)面的な色や特徴的な空間情報が居室把握に対して有効であると考えられる。 (3)高次脳機能検査簡易型によって判定した痴呆の程度と居室把握の能力と方法には関連性は見られない。 (4)質問調査や行動観察調査による研究方法は一定程度の有効性をもつものと考えられる。
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