景観整備において、まず、景観整備のイメージが思い描かれ、次に、そのイメージを具現化する為にふさわしい手法を与えるというのが好ましい整備プロセスであると考えられる。ところで、景観整備の手法に関する成果はあるものの、依然として設計に至るまでの景観イメージの過程や、整備手法との間の関係については、曖昧のままである。そこで、ここ十数年間における日本での景観整備事例を対象にして、思い描かれた整備イメージ、と、実際に用いられた整備手法の把握、そしてその関連性を、6つの切り口から解明していくことが目的である。 この研究では、一次資料調査、企画設計者への調査、現地調査、景観評価と変遷調査等により、以下の6つの研究手順を進めることで、これら景観整備の一連の関連性を求めた。 1)景観整備におけるイメージの展開と整備手法の関係 2)景観整備におけるイメージとデザイン目標との関係 3)商店街事例における景観整備の手法の特徴とイメージとの関係 4)景観づくりにおける主体間の協働について 5)街並み景観整備における触媒効果について その結果、(1)日本の十数年間の景観整備事例から、設計企画者が考慮した景観イメージと具現化の為の整備手法が把握され、相互に深い関連性が認められた。(2)対象事例から、設計企画者の整備イメージ、特に目標として掲げたテーマ設定の傾向と展開方法が求められた。(3)景観づくり、まちづくり規定等の手法において、実現に向けての経緯や様々な担い手の関連性が求められた。(4)景観整備により規範的なイメージ・指針が確立し整備後の景観形成に影響を及ぼした事例地域から、景観整備における波及効果及び整備の触媒効果が求められ、景観形成の為の要素とそのメカニズムを示すことができた。
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