全国の自治体に対して郵送で調査票を配布し、シルバ-ハウジングの建設状況・運営状況に関するデータを取得した。同時に、計画内容について、計画策定報告書を収集することによって分析した。(1)住戸計画の内容、(2)高齢者住宅の配置原則(3)介助システム等の項目について、団地を単位として分析し、数タイプに類型化した。さらに、これらの類型が形成される要因について、計画時期による差異、立地している地域による差異の観点から検討した。その結果、立地の差が住戸規模、居室構成、住戸配置に大きく影響を及ぼしていることがわかった。約半数を供給する東京都と、その他の地域との間で大きな差が認められた。東京都のシルバ-ハウジングでは住戸規模は小さく、都市居住型誘導居住水準を下回るものが多く、間口幅が狭いことが明らかであり、居住水準の点では劣っていると考えられる。これには、立地する地域の平均的な居住水準の低さが大きく影響していると考えられる。東京都以外の地域では、高齢者向け住戸を接地させたものを供給することが可能であり、単身の高齢者に対しても都市居住型誘導居住水準以上の2DKタイプを、夫婦世帯と同様に供給されていた。これは、居住水準が高いばかりでなく、夫婦の一方が亡くなり単身化した時でも住宅の移動をしなくてもよいという管理上の有利さも備えたものであり望ましいのである。以上のように、本年度は、地域の高齢者の実態に対応して全国的には様々なタイプのシルバ-ハウジングが形成されていることと、これが地域の住宅事情に大きく影響されていることを明らかにした。
|