本年度は、福祉サービスと連携した公営住宅であるシルバ-ハウジングについて、先進的な計画を行っている愛知県内5団地の高齢の居住者すべてに対する実態調査を行った。 住み方調査によって生活行為の場を検討すると、DKが定着している、日中くつろぐ場はユカ座が多い、ベッドによる就寝が採用される傾向がみられる、などが明らかになった。したがって、くつろぐ場としての和室と就寝する場である洋室を区分して確保し、これにDKを加えた現在の2DKの居室構成は、高齢者の住生活に適応したものであり、単身者であっても、この水準は必要であることが判明した。また、ベッドを置く居室の規模は、夫婦世帯では6畳以上が必要であることがみられた。居室間の結合関係についてみると、住戸内全体を容易に把握できる、連続的な構成が評価されていた。 近隣付き合いについてみると、シルバ-ハウジング相互の付き合いは形成される割合が高いが、高齢者と一般居住者との関係は深いとはいえず、集会所などの施設を活用したコミュニティ形成が今後の課題であることがみられた。 緊急通報システム、福祉分野で行う生活援助サービスに対する評価をみると、これらがあることにより、自立した高齢者であっても日常的な安心感を得ている実態があり、期待も大きいことが明らかになった。したがって、単身・夫婦のみの高齢者にとって、福祉と連携した住宅供給は有効であり、さらに拡充が必要であるといえよう。
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