都市空間のイメージ形成過程の分析のため、熊本市およびお福岡市の中心市街地の、都市内空地、公園、および総合設計制度を適用して生み出された公開空地のイメージ調査を行った。調査は熊本、福岡各6空地の計12空地を対象とし、SD方を用いて36の形容詞句対を用意し、現地で当該空地のイメージ評価を求めたものである。調査の結果は一般的特性について統計分析を行い、さらに、評価指標間の関係についてその特性を効用関数を用いたファジィ積分の解析手法を用いて心理評価構造の分析を行なった。この結果、空地全体の好き嫌いは解放感、落ち着き、自然感などの複数のイメージが相乗効果や相殺効果を持って全体イメージに至る構造が明らかとなった。これらのイメージは、空地内のしつらえや周辺との関係などの物理指標との関係についても分析を行った。また、これまでパーソナルコンピュータ上に構築してきたイメージの知識ベースを、平成6年度に購入したシステム上に移植し、上記のデータを登録するための検討を行った。さらに、知識ベース活用のための新たな推論形式として、仮説推論を用いた知識ベースを構築するための推論機構の開発について検討を行ない、イメージ形成と各空地のコンテクストの関係の表現について考察した。今後、これらの諸要因を知識ベースに反映させるための検討が平成7年度の課題であり、新たなシステム開発のキ-ポイントである。また、建築空間については事務所建築におけるオフィス空間イメージ調査結果(データ入力済み)を再度分析し、その構造を上記と同様の形式で表現するための検討を行った。 これらの成果については、熊本市および福岡市における都市空間のイメージ調査と、ファジイ解析を行った結果を日本建築学会の大会、支部研究会、論文報告集に発表した。
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