まず、多様な間取りを実現した先進的な事例である住宅都市整備公団の集合住宅について実地調査を行い、入居時に要求される条件とともに、間取りの変更等の経年変化の実態を把握し、これからの内装構法に求められる条件の設定を行った。次に、設定した要求条件に従い、主として間仕切パネルに着目し、それらの部品分割、寸法設定、目地設定などの様々なパターンについて評価・検討を加えた。また、具体的な間仕切パネルシステムのモデル設計及び実物大模型試作を行い、パネルの組合せによって平面パターンを変更させた場合の基本的なジョイント形状の妥当性を検証した。 さらに、標準的な集合住宅の内装に関する図面を収集するとともに、間仕切の取り合いパターンを分類整理し、現状において要求される納まりの頻度を検討した。また、電気配線を主とする設備工事とのインターフェイスを内装間仕切のシステム化の際にどのように設定すべきかの検討を行い、いくつかの手法について具体的な構法の可能性を追求した。 これらの検討結果を踏まえ、間仕切パネルシステムの改良設計及び実物大模型試作を行うとともに、構造躯体壁面との取り合いや、パネル配列パターンの変化に対する想定接合方法の有効性、施工段階における合理性など、システムの特徴を探り、問題点を明らかにした。 これらの実験より、基本的な間仕切パネルの構成方法と形態及び寸法の考え方の妥当性について様々な新しい知見が得られたが、同時に、パネル建込み時の鉛直性のチェック方法などの問題点や、内装構法全体のさらなる合理化を求められる要件など、今後の研究課題などが明らかになった。
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