1.「24時間生活施設」に該当する各種の施設を選定し、類型化を行った。 また現在見られる建築形態の獲得過程を計画史的に把握した。 (1)18世紀後半から19世紀にかけて、公的な施設が計画され、建設されていく過程で、施設の理論的な説明のために、幾何学的形態や分棟配置がしばしば採用され、それが後世の施設設計に影響を与えていることを把握した。 (2)建築種によらず、管理の強化が求められる程求心的な室配置が採用され、一方生活を重視する程分散的な室配置がなされる傾向にあることがわかった。 (3)刑務所と病棟と寮の建築平面を比較分析した。建築種別の相違点よりも類似点が多く見出され、室名を読みとらなければ、区別がつかない事例も多く見出された。 2.生活制限の程度や施設の管理方法について類型化を行った。 (1)食事・排泄・入浴・洗面・着衣・就寝・起床という基本的な生活行為について、施設利用上の規則を分析した。 (2)また施設入所者の日課を分析し、自由裁量時間と拘束時間の量的比較を行った。 病棟・各種老人ホーム・身障者寮護施設・刑務所・学生寮について比較を行ったが、刑務所のほうが老人ホームよりも、集団行動などの日課が少なく、自由度が高い内容もあるなど、従来の既成概念と実情に距たりが見られることが分かった。
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