本年度までの作業で得られたことおよび判明したことはつぎのとおりである。 1.本州・四国・九州の消滅集落分布地図を作成した。データを消滅時間・地域・要因・標高等にもとづき分類整理した。(なお北海道・沖縄について補填作業中) 2.消滅集落数は本州で1856、四国で308、九州で529、計2693集落となる。期間1(S20〜40年代)では「ダム等による」消滅が、期間2(S40〜60年代)では「その他の理由による」消滅が相対的に多い。その結果、各期間ほぼ同数の消滅集落がある。 3.「ダム等による」消滅集落は内陸山間部、とりわけ両白山地・山口県・宮崎県などに集中している。「その他の理由による」消滅集落は山間部に分布し、海岸部平野部ではごく少ない。 4.「ダム等による」消滅集落の密度は、期間1において南近畿・中部日本海側などダム立地に好適な地域で高い密度を示すが、期間2においては全般的に密度が低下し、地域格差が小さくなっている。 5.「その他の理由による」消滅集落の密度は、期間1においては過疎地として注目を集めた山陰とならんで南近畿が高く、ほぼ90集落/km^2を示す。期間2においては西四国がとびぬけて高く、また九州・東北地域でも増加傾向を示すことから、太平洋ベルト地帯よりさらに隔たった遠隔地を舞台とした消滅が進行している傾向がうかがえる。 6.「その他の理由による」消滅集落の平均標高は期間で比べると全般的に低くなってきており、消滅の進行地帯がより標高を下げてきていることをうかがわせる。ただし反対の傾向を示す地域もある。 7.こんごアンケートによる消滅集落に関する詳細データの収集と分析を行なう予定であり、調査票案もほぼ作成を終えた。また要因を分析するための地理的指標として、既存メッシュデータ利用の方法も検討する。
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