平成7年度は、平成6年度に行った調査や資料収集したものを整理すると同時に、比較検討した結果を再度、確認することを主眼とした。 また平成6年度に行った各寺院の調査の補足調査をすると同時に、遠隔地にあって調査を必要とする、未調査の遺構について、実地調査をしたり、堂内の調査が許可されない場合は、かって行われた調査の資料を収集するような努力をした。最終年度であるため、全体的な視点に立ち、建築彩色紋様について分類・比較・検討を行った。 その結果、奈良時代の南都の堂塔の内部意匠の在り方と、密教寺院が成立してからの、平安浄土教の堂塔内部意匠、建築部材に現われる金襴巻(柱)、幾何学的彩色紋様の成立過程、禅宗寺院での建築装飾の在り方、堂塔以外の、例えば門に極彩色を使用するような例も認められ、外部に極彩色を施すのが、神社本殿での極彩色の盛行(外観)とも関連があるように推測されるなど、多くの基礎的な問題点が明らかとなった。
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