研究概要 |
(111)面を接合界面とする純Cu単結晶試料と初期厚さd_O=130μmのFe-4.8mass%Cu多結晶試料とを組合せたサンドイッチ状Cu/(Fe-4.8Cu)/Cu拡散対に1050°Cにおいて最長86400sの加熱処理を施すと,Fe中のCuの体積拡散から予想されるよりも100倍程度速い速度でFe相板の中心部においてCuの拡散場の重なり合いが起こることを見いだした。この様な特異な挙動は,拡散誘起再結晶(DIR)により合金化と再結晶とが同時に進行することに起因していることを明らかにした。上記の実験条件では,Fe相板の厚さd[μm]およびDIRによる合金領域の幅w[μm]は反応時間t[s]にともない d/d_O=1-5.0×10^<-5>t^<0.5>およびw=1.6t^<0.3>の関係に従い変化する。したがって,合金化領域はt=50hというかなり短い反応時間においてFe相板の中心部にまで達することになる。通常拡散律速型の反応は時間の平方根に比例して進行するが,上記のDIR領域の幅は反応時間の0.3乗に比例して増加している。このような時間依存性は,研究代表者らの提案したエネルギーバランスモデルを粒界拡散の拡散方程式と組み合わせ反応初期においてFe相中にすでにCuが固溶しているという初期条件の下で数値計算法を用いて解くことにより定量的に再現することができる。
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