1.Pd-Cu-Ti合金中の水素の拡散 Tiを不純物として加えたfcc、bcc構造の試料を作製し、これらの合金中での水素の拡散を測定した。この結果、bcc構造中ではTiの添加により水素の拡散係数が著しく小さくなるのに対し、fcc合金中では大きな影響は現れないことを見出した。 2.bcc合金の表面改質とこれらの合金中の水素の拡散 Ta-TiおよびNb-Ti合金表面にPdをコーティングして、水素の拡散が測定可能であることを確かめた。また、これらの合金の水素の拡散係数の温度依存性を測定した結果、Nb-Ti合金でTi添加による拡散の抑制効果がより大きく現れることを見出した。 3fcc合金とbcc合金中の水素の拡散の違いに関する考察 fccのPb-Cu-Ti合金ではいわゆるトラップ効果が起らないことが明らかになった。が、このことはfcc構造では水素のトンネリングの拡散が起こりにくいことに関連しているものと考えられる。また、bccのTaとNbを比較した場合、より拡散の速いNbでトラップ効果が強く現れたが、このこともNb中でトンネルング拡散性が大きいことに関連があるものと考えられる。今後は、トラッピング効果とトンネリング拡散の関連を理論的に考察する必要がある。また、従来のトラツプモデルも全面的に考察しなおす必要がある。
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