研究課題/領域番号 |
06650739
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田辺 靖博 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (70163607)
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研究分担者 |
田村 英樹 東京工業大学, 工業材料研究所, 助手 (30188437)
澤岡 昭 東京工業大学, 工業材料研究所, 教授 (40029468)
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キーワード | 炭素薄膜 / 特性 / sp^2 / sp^3結合 / 電子ビーム照射 / 高密度プラズマ |
研究概要 |
高密度プラズマ合成装置(MPD装置)を用いて、炭素系(DLC〜微結晶質炭素)薄膜の合成を行った。膜の密度、硬さ、屈折率などの特性ならびに電気抵抗率を測定し、合成条件との関係について詳細な検討を行った。加えて、これらの特性と膜中のsp^2結合とsp^3結合との割合、水素量との関係について、^<13>C-NMR、FT-IR、ESCAを用いて解析した。 この結果、合成条件を変えることで、膜の硬さ、屈折率、電気抵抗率が変化することが分かった。この変化は、膜中の水素含有率に大きく影響されること、水素量が変化するとsp^2結合/sp^3結合の割合が大きく変わることが示唆された。本実験条件の中で最も硬い膜となったのは、基板温度200℃、バイアス電位-200Vで成膜を行った膜であった。 合成膜中に、フッ素元素を導入することで膜質、特にsp^2結合とsp^3結合の割合を制御できることが分かった。この効果は、酸素と共存する条件で、特に著しい効果を示すことが示唆された。 本MPD装置で微結晶質炭素と銅との層(サンドイッチ)構造膜を合成し、高エネルギー(14J/cm^2)の電子ビームを800ns照射する実験を予備的に行った。ESCA測定ならびに顕微ラマン測定の結果から、照射膜には検出できなかったsp^3性のC-C結合が、照射後の膜中に生じていた。しかし、同一条件でDLCと銅の層構造膜に照射した場合には、DLC膜中のsp^3性を示す結合が消失した。さらに、単独の炭素質(DLCならびに微炭素質)膜に照射した場合は、いずれの膜もsp^2性結合のみの膜となった。銅の役割など不明な点は多いが、この方法により、ダイヤモンド結合の生成が期待できることが分かった。これは、電気抵抗ならびにプラズマの詳細な検討と併せて、今後の重要な研究課題の一つである。
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