研究概要 |
平成6年度は、各種有機アンモニウムイオン修飾粘土を作成し、その光機能有機分子の固定化媒体としての可能性を探索した。 ホストに電荷密度の異なるスメクタイト族の粘土鉱物(フッ素雲母、モンモリロナイト、サポナイト等)を用い、陽イオン性のゲストとして各種アルキルアンモニウムを用いて合成を行った。マイクロポーラスな構造の構築を目的とした場合、アルキルアンモニウムとして、テトラメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウム等を用い、アンモニウムイオンのサイズと層電荷により細孔構造の制御を試みた。比表面積や細孔径分布の測定結果は、細孔が制御されたことを示した。また、その細孔内に1,10-アントラキノン(DAQ)を吸着させその光過程を検討したところ、アンモニウムのサイズが大きくなるにつれ、層間の環境が変化することが明らかとなった。 一方、アルキルアンモニウムとして、長鎖アルキルアンモニウムを用いた場合は、炭素数12あるいは18のものを用い、アルキル鎖の本数を変化させ、その層間環境の評価を行った。角度可変高感度反射測定装置(設備備品費で本年度申請)をIRと組み合せ、アルキル鎖の配向について検討したところ、2本鎖並びに3本鎖のものでは、他のものに比べアルキル鎖がより垂直に近い形で配向してるものと推定された。さらに、層間にピレン等の光プローブを吸着させ、その光過程を検討したところ、ピレンのエキシマー形成は、アルキル鎖長や炭素数ではなく、アルキル鎖の配向状態に支配されることが明らかとなった。
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