研究概要 |
各種サポナイトの層間にジアセチレン(2,4-Hexadiyne-1,6-diol:DA)をインターカレーションさせ、その際サポナイトの層間カチオンにTMA・Naと大きさの異なるものを用い、吸着させるジアセチレンの環境が層間での重合反応に及ぼす影響を検討した。まず各種サポナイトを純水中に分散させ、超音波処理することにより均一に懸濁させ、この懸濁液を基板(石英、ガラス)上にキャスト、乾燥させることにより可視域でほぼ透明な薄膜を作成した。DAの各粘土薄膜へのインターカレーションは液相から反応させることで行った。すなわち、各粘土薄膜を密閉容器中に封入し、系内を減圧、加熱(150℃,5h)することで脱水処理を行い、その後密閉容器内を窒素雰囲気下で室温まで冷却し、各粘土薄膜表面にDAのエタノール溶液を滴下、エタノールを蒸発させることで反応を行った。得られた各試料薄膜にUV光を照射したところ、合成サポナイトの試料においては吸収スペクトルにおいて可視域に新たな吸収ピークが出現した。このピークは重合体によるものと帰属されることから、層間での重合反応の進行が確認された。一方、TMA型サポナイトにおいては、合成サポナイトの試料とは異なり可視域での新たな吸収ピークは見られず、重合反応は制限されていることが確認された。これらの実験結果は、層間に存在しているカチオンの大きさにより重合反応が立体的に制限されていることによるものと考えられた。
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