1.パルスCVDの圧力変化を200Torr程度とするとき、析出のための保持時の圧力が浅い減圧(500〜760 Torr)では反応器の後に圧力変動制御容器(POSTCON)を、また、深い減圧(0〜300 Torr)では反応器の前に圧力変動制御容器(PRECON)を設置すると操作性がよいことがわかった。 2.炭化ケイ素ウイスカーの成長-VLS成長の液滴形成金属としてはニッケルが最適であり、塩化ニッケル六水和物の0.51mg/mlおよび1.04mg/ml水溶液を塗布して1380℃のCVD雰囲気に曝したところ、核密度はそれぞれ1.4x10^8および1.6x10^8/cm^2となり、細いウイスカーの成長には希薄なニッケル溶液がよいことがわかった。また、パルス数の影響として500パルス程度がよく、それ以下ではむしろ膜成長が進んでいた。保持時間は0.75秒の付近がよく、それ以上ではウイスカー領域が狭くなり、また、それ以下では膜成長が起こった。POSTCON型装置でのガス交換圧力差約200Torrのとき、ゲージ圧-15〜-220Torrが最もよく、長い基質のほぼ全面にウイスカーが成長した。PRECON型の深い減圧付近でのパルスCVDの結果は、ガス排出口側にウイスカー領域が偏り、本研究の目的とする広領域成長に反する結果となった。 3.窒化チタンウイスカーの成長-この系での最適液形成金属は金であるが、これの融点降下のため、1070℃で原料ガス(四塩化チタン-窒素-水素)を1パルス導入したあと1070℃で30分程度保持した後、1030〜1040℃の成長温度にする操作が肝要であることがわかった。四塩化チタン濃度は0.1%付近が最適であった。1パルス当たりの反応時間は0.4秒程度が最適で、このとき長い基質のほぼ全面にウイスカーが成長した。装置はPRECON型がよく、-540〜-680Torrの間のガス交換で最良の結果を得た。
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