研究概要 |
1.研究目的:誘電体薄膜を対象に薄膜成長表面にエネルギービームを照射しながら薄膜を合成し、薄膜の物性並びに表面微構造を原子間力顕微鏡(AFM)などを用いて評価し,エネルギービーム照射の効果とその素過程を明らかにする事を目的に、平成6年度から7年度の2年間で以下の研究を行った。 2.研究内容:複合イオンビームスパッタ(IBS)装置並びに電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ装置を用いて、誘電体薄膜としてAINとダイヤモンドを対象に研究を行った。AIM薄膜はIBS法で金属AIをターゲットに、薄膜成長表面に窒素イオンを照射し合成した。一方ダイヤモンド薄膜はECRスパッタ法で炭素をターゲットに、Ne、Ar、Kr-O_2混合ガスプラズマを用いてダイヤモンド状炭素(DLC)薄膜を合成・評価し、薄膜成長の素過程はAFMで追跡観察した。以上の研究で以下の事が明らかになった。 (1)合成されたAIN薄膜の光学特性は、照射窒素イオンのエネルギーに、結晶配向性は照射角度に依存する。成長素過程は、初期は基板の影響を強く受け、成長に従ってAIN(110)に配向した構造になる。 (2)合成されたDLC薄膜の電気伝導度と光透過率は酸素混合比に大きく依存し、酸素混合比が20mol%以上で絶縁性で光透過率が80%以上であった。屈折率は2.4とダイヤモンド相当の値を示し、SP^3SP^2構造が混合したもので、基板温度が400℃以下で20nm程度の微結晶、600℃では220nmまで成長する事が明らかになった。 (3)成長素過程は、島状に核が多数発生し、約1,725ヶ/μ^2で飽和、15nm程度の結晶粒で表面が一様に覆われその後、粒数は順次減少し120分で18ヶ/μ^2、粒径226nmと成長する様子が明らかになった。
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