1.目的 この研究は、生体機能材料として最も基礎的なリン酸カルシウムガラスとその結晶化ガラスの力学物性を超音波物性の観点から解明することによって、優れた人工骨・人工関節・人工歯などを作る基礎を確立することを目的とする。 2.実験 試料作製:所定量のH_3PO_4(85%溶液)とCaCO_3をテフロンビーカー中で反応させる。反応物をアルミナるつぼに移し、電気炉中で予め500℃で熱処理して水分を蒸発させた後、1300℃で溶融し2時間保持する。この融体をカーボン型に流し込み円柱状(15^φ×25mm)のバルクガラスを作製する。このバルクガラスをガラス転移温度でアニーリングした後、物性測定を行う。 超音波物性:パルスエコー重畳法により測定する。 3.結果と考察 xCaO・(1-x)P_2O_5ガラスをx=0.25〜0.50の組成範囲で作製し、当初に計画した下記の超音波物性の測定を完了した:(1)超音波速度、(2)超音波吸収係数、(3)超音波速度の温度係数、(4)密度、(5)ヤング率、(6)剛性率、(7)体積弾性率、(8)ラ-メ定数、(9)ポアソン比、(10)音響インピーダンス。しかし、超音波速度の組成依存性にはかなり大きなばらつきがみられた。このため、試料について以下の点を検討している:熔融温度と時間、アニーリング温度と時間、組成分析、水の含有量、るつぼから溶出したアルミナの含有量。
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