研究概要 |
粒界の性質はその性格によって決まり、高温における粒界すべりや粒界移動、VIa族遷移金属の低音遷性など結晶性材料の性質は結晶粒界の存在によって大きな影響を受ける。本研究では、Al,Mo,TicやSiなどの原子結合の異なる結晶について方位制した双結晶を作製、これらの粒界構造を系統的に検討してきた。さらに、粒界エネルギーや粒界破壊強度の測定も行い、これらと粒界構造との相関についても検討を行った。 1.粒界構造:結晶粒界は、SiCやSi_3N_4のような共有結合性セラミックスにしばしば観察される拡張粒や界粒界第二相が存在する場合を除き、粒界の性格や原子結合の相違によらず、1次転位(格子転位)と2次転位(DSC転位)が混在した転位列によって構成される周期構造を有し、それらの周期構造は対応粒界理論やO格子理論に基づく幾何学モデルで記述することができることが明かになった。 粒界エネルギーと粒界転位密度(粒界構造)との相関:粒界転位密度の方位依存症と粒界エネルギーの方位依存症との間によい相関関係があることが明かとなった。このことは、粒界エネルギーの大部分が転位の弾性エネルギーによって担われていることを示している。粒界エネルギーにお関するRead-Shocleyの関係によれば、粒界エネルギーは回転角の関数として与えられる。ただし、この関係は小角粒界の範囲に限られる。しかし、本研究の結果、粒界エネルギーは粒界転位密度の関数として記述でき、その関係式は大角粒界まで拡張することが可能であることが明かとなった。さらに、粒界転位の弾性エネルギーが転位のバーガースベクトルの大きさに存在しないこと等重要な知見が得られている。
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