近年、粒形制御型や複合構造型など微構造を制御した高性能セラミックスが開発され、輸送機械や宇宙航空工学などの分野で使われ始めようとしているが、これら高性能セラミックスの高速動的強度や耐高速衝撃破壊の研究はほとんど行われていない。本研究は精密な衝撃計測実験を行い、微構造制御型セラミックスの衝撃圧縮特性を明かにし、その耐衝撃材料としての可能性を探ろうとするものである。 平成6年度は主に傾斜鏡法によるユゴニオの計測によって、Y_2O_3添加立方晶および正方晶ZrO_2、粒径制御型およびSiCウィスカ-添加型Si_3N_4、純粋A1N、純粋B_4Cについて衝撃圧縮挙動を調べた。その結果、立方晶および正方晶ZrO_2は弾-塑性転移や相転移、高圧相の状態方程式の情報が得られ、結晶性と降伏特性、相転移の相関が明かとなった。また、回収試料の微視的観察によって正方晶-単斜晶の相転移を見い出し、正方晶ジルコニアの異常な衝撃圧縮挙動との関係が議論された。Si_3N_4ユゴニオ弾性限界から衝撃圧縮下の強度に対する粒径制御やウィスカ-の添加の効果を明かにし、静的強度との相関が議論された。AINでは弾性限界と相転移点が得られ、相転移への結晶粒径の依存性が示唆された。B_4Cでは不均一な自由表面運動が観察され、クラックによる降伏を示唆する結果が得られた。これらの成果は、現在、6報の論文として掲載または掲載決定済みである。一方、レーザー速度干渉法(VISAR)の製作を進め、本年度中に鉄の衝撃波の干渉紋ビ-ト信号の計測に成功した。来年度からシステムとして完成させ、セラミックスの計測に応用する計画である。
|