飲料水中の溶存酸素濃度とアルミニウム合金5181の孔食達成との関係を研究した。溶存酸素濃度を10ppbから600ppbまで変化させた時のアノード分極抵抗を面積分極法で測定した。40ppb以上の溶存酸素が含まれていると5182の孔食発生が起こることが電気化学的、金属学的に分った。この溶存酸素40bbpの値は実際の事故缶の値と一致している。Fe/Si比を変えたAl-Fe-Si合金の溶解挙動を5%NaOH水溶液中で調べた。Fe/Si比が減少するにつれて溶解量も減少した。NaOHエッチングによる溶解過程はカソード反応としての水の分解反応に支配される。エッチング過程においてはFe/Si比の低い金属間化合物のカソード反応としての能力は少ないことが電気化学的に判明した。NaCl濃度とFeAl_3金属間化合物の腐食挙動を電気化学的な手法と金属組織学的な観察により調べた.0.1M NaCl濃度以下の水溶液ではFeAl3金属間化合物の溶解と析出に起因する自己触媒的な特性が生じる。しかし、3.0M NaCl以上の濃度ではFeAl3金属間化合物表面で起る溶存酸素の還元反応だけが起る従来のモデルと同じになる。FeAl3金属間化合物の溶解は電位依存であり、孔食電位はNaCl濃度に関係する腐食電位と同じである。市場に出回ってる飲料水中の溶存酸素と飲料缶の材料アルミニウム合金5182の孔食発生との関係を電気化学的手法を用いて調べた。10ppbから600ppbまで変化させた飲料水中のアソード分極抵抗をガルバニック対でカソード面積を増加させることによって測定した。孔食発生は溶存酸素40ppb以上になると起ることが分かった。0.1MNaCl水溶液中に1000時間浸漬したAl-Fe合金試験片表面に発生する孔食内の塩素イオンの濃度を電気化学的な観察と計算によて見積もった。この方法は腐食電位はその時点での孔食電位に一致しているという電気化学的な観察結果に基づいている。孔食内の塩素イオンの濃度はおよそ1MAlC13で近似できることが分かった。
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