研究概要 |
現在まで溶融塩化物,溶融硫酸塩およびそれらの混合塩中で32種類の耐熱合金の耐食性の評価が終了し,以下のような結果が得られた.評価方法は,迅速評価が可能となる交流インピーダンス法により行った. 1.溶融硫酸塩中での耐食性は,ほぼCr量により決定される.450〜600℃では20%以上のCrの含有が必要とされる.また,同じCr量の合金を比較すると,Moの添加量が多いものは耐食性が劣る. 2.溶融塩化物中では,他の2つの溶融塩に比較して,合金位よる耐食性の差が小さい.これはこの環境で保護性のよい酸化皮膜が生成しにくいことを意味している. 3.混合塩中での耐食性に対する合金元素の影響は,はっきりとした傾向を示した.すなわち,Crを20%程度含み,かつ高Mo含有の合金が優れた耐食性を有する.これは酸化皮膜(Cr_2O_3)が塩化物イオンにより攻撃を受けるとき,その皮膜の修復過程においてMoが働くものと考えられる. 4.実際のゴミ焼却炉環境では,腐食灰は燃焼するゴミの種類により大きく変化する.従って,以上の3種類のいずれの環境に対しても,優れた耐食性をもつ合金を選択する必要がある.総合的に判断して,本研究では,次の4種類の合金を候補材として選択した. Inconel625 HastelloyC-22 HastelloyG-276 Inconel601 今後,従来の試験法である溶融塩塗布試験,長期の実炉試験等で,これら3つの合金中で最も優れた材料を最終決定する予定である.
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