研究概要 |
本研究では,陶芸ろくろ作業における手指の材料流れ制御機能(運動機能と接触覚機能)を模倣した新しいコンピュータ制御塑性加工機を開発して,この成形におけるひずみ配分法則をもとにプロセス推論システムを構築し,メタルフロー制御成形を行い,接触覚情報をもとにした知能化成形システムの開発を試みた.まず,手指の機能を模倣できるようにCNC旋盤の機能を大幅に拡張したCNC塑性加工機を開発し,ひずみ配分に対する基本法則を用いて任意の製品形状を成形するためのプロセス推論ルールを構築した.次に,薄板の深皿状・壺状張出し成形の成形プロセスを推論ルールを用いて求め,その結果をもとに開発機を用いて成形を行った.その結果通常の金属薄板を超塑材料のように張出し成形することがきでた.そして,開発したシステムを用いて,アルミニウム板,アルミニウム合金板,銅板等の各種薄板を様々な形状に張出し形成し,成形形状と肉厚分布,くびれ・しわ・座屈などのメタルフローに起因した不整変形の発生状況を調べ,成形挙動に対する工具運動プロセスの影響に関するデータベースを整備した.このデータベースをもとに,くびれ・しわ・座屈などのメタルフローに起因した不整変形の発生を回避するルールをプロセス推論ルールに組み込み,その有効性を実験的に確認した.さらに,インクリメンタルフォーミング中に生じる薄肉素材の大たわみ変形とメタルフロー挙動を接触覚情報をもとに制御する知能化成形プロセスを開発した.
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