1.2価クロム塩を用いた鉄鋼材料へのクロム合金めっきの基礎として、3価クロム塩の2価クロム塩への電解還元の条件を確立するために、硫酸第二クロムあるいは塩化第二クロム水溶液の複極式電解槽を用いた硫酸第一クロムあるいは塩化第一クロム水溶液への電解還元反応の研究を行い、温度298K、濃度0.5から1.0kmol・m^<-3>の塩化第二クロム水溶液を用いた電流値0.5から1.5Aの回分式電解還元により、電解中カソード液のpHを2以下に保持すれば、平均電流効率70から50%で3価クロムイオンの2価クロムイオンへの100%の還元が可能であることが明かとなった。また電解液に濃度2kmol・m^<-3>の塩化カリウムを添加することにより電解還元速度が増大することが認められた。 2.2価クロム塩からのクロム電析の最適条件を検討するため、電解還元で調整した2価のクロム塩水溶液に蟻酸、グリシンあるいはクエン酸等の有機酸を添加し、クロム電析を行ったところ、添加した有機酸のpH緩衝作用により、水素イオンの放電反応が拡散限界電流条件下で進行するカソード電位で、良好な金属光沢を有するクロムめっき皮膜が得られることが明かとなった。特に2価クロム塩からのクロム電析の最適条件として、組成0.8kmol・m^<-3>CrSO_4-2.0kmol・m^<-3>KCl-0.1kmol・m^<-3>HCOOH(pH1.8)の電解液を用い、無攪拌条件下でカソード電位-1.10VvsSHEで30分間クロム電析を行い、電流密度408 A・m^<-2>で電極全面に光沢のあるクロム電析物を得た。また、このクロム電析の電流効率は25.4%であり、クロム電析物の平均膜厚は10.8μmであった。
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