研究概要 |
ZrO_2-3mol%Y_2O_3にアルミナを少量添加した粉末を用い,種々の温度で焼結後,電子顕微鏡観察,熱膨張,X線回折,3点曲げ試験などを行い,粒界偏析挙動と相変態の関係を調べ,以下の結果を得た. 1.アルミナを含むZrO_2-Y_2O_3セラミックスの粒界には,アルミナ,シリカ,ジルコニア,マグネシアなどに富む非晶質粒界相の形成が認められた。粒界相の組成は,アルミナーシリカ系の共晶組成に近く,アルミナ添加は粒界相生成を加速することが判明した.なお,シリカは出発粉末中に含まれていた不純物と思われる. 粒界相の量および厚さは,焼結温度の上昇と共に増加した. 2.粒界相の生成に伴い,正方晶から単斜晶への変態速度は減少した:特に,変態生成物の成長過程に関係なく,核生成段階を抑制することが判明した. 3.粒界相生成に伴い,結晶粒径が著しく増加した.しかし,3点曲げ強度は粒界相生成と共に,増加の傾向にあり,これより,粒界相が粒界破断を抑制することが判った.
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