平成6〜7年度において、数種類のセラミックス・金属接合体を作製し、各種環境下における接合体の性質について調査した。 1.熱サイクル試験 Si3N4(Mnタライズ)/金属接合体では、373〜698Kの範囲で60サイクルの試験において175〜320MPaの破断強度を維持し顕著な強度低下を認めなかった。Al2O3(Ag-Cu-Ti)/金属接合体では、373〜723Kの範囲で480サイクル後282〜295MPaであり、試験前と同程度の強度を維持した。 2.酸化試験 Si3N4(Mnタライズ)/金属接合体では、723Kで360ksまで249〜341MPaの強度を維持した。Al2O3(Ag-Cu-Ti)/金属接合体では、723Kで2160ksの範囲で最大187MPaまで著しい破断強度の低下を示した。 3.熱油浸漬試験 Si3N4(Mnタライズ)/金属接合体ならびにAl2O3(Ag-Cu-Ti)/金属接合体ともに、370Kで3600ksまでの浸漬において、両接合体ともに浸漬前と同程度の強度を維持した。 4.熱水浸漬試験 Si3N4(Mnタライズ)/金属接合体では、370Kで3600ksの浸漬で144〜200MPaであり浸漬時間とともに強度低下した。Al2O3(Ag-Cu-Ti)/金属接合体では、同様の条件において最大75MPaまで強度低下を示し、Al2O3(Ag-Cu-Ti)/金属接合体の強度低下を明らかにした。 5.酸性水溶液浸漬試験 Si3N4(Ag-Cu-Ti)/Ni接合体では、1N・H2SO4(323K)中518.4ksの浸漬において100MPaまで強度低下した。同様の条件において/kovar接合体では、20MPaの著しい低下を確認した。230.4ksにおける両接合体の強度維持率はNi接合体が88.5%、kovar接合体が36.5%であり、同一接合法においても著しい違いを示した。強度低下は、kovar接合体では主にろう接材層中の合金層の腐食、またNi接合体では反応層の一部とSi3N4自体の劣化によることが明らかとなった。これらのことから、セラミックス・金属接合体の耐環境性に関する基礎的な点について明らかにすることができた。しかし、さらにより系統的で詳細な研究が必要と考えられる。
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