アルミニウムイソプロポキシドを加水分解し、ベ-マイトを合成した。これを塩酸解膠してベ-マイトゾルを得た。別に、ポリスチレンをトルエンに溶解して10wt%ポリスチレントルエン溶液を用意した。100mlビーカーにベ-マイトゾルとポリスチレントルエン溶液を重量比で5:1となるように秤り取り、ホモジナイザーにより7000〜8000rpmで撹拌し、W/O型分散系を形成させた。また、500mlビーカーに純水400mlを量り取り、これに界面活性剤20mlを添加し、40℃に加温した温水を用意した。この温水にさきのW/O型分散系を加え、ホモジナイザーにより7000〜8000rpmで撹拌分散させて、(W/O)/W型の分散系を形成させた。これを40℃に保ち4日間撹拌子を用いて撹拌しながらトルエンを除去した後、生成したベ-マイトゾルを内包する球形のポリスチレンバルーンを5000rpmで20分間遠心分離した。さらに純水によりポリスチレンバルーンの表面に付着した界面活性剤を洗浄した後、ポリスチレンバルーンを濾別した。これを大気中に3〜4週間放置して乾燥させたのち、600〜1000℃で2時間焼成し、アルミナバルーンを合成した。本年度は球形成に適したゾル濃度の決定を行った。濃度0.581mol/kg、1.139mol/kg、1.513mol/kg、1.918mol/kgの4種類のゾルについて検討した。その結果、濃度0.581mol/kg、1.139mol/kgの低濃度ゾルではポリスチレンバルーンの前駆体が形成されていることが確認できた。一方、濃度1.513、1.918mol/kgの高濃度ベ-マイトゾルでは球状の分散物がほとんど観察できなかった。これはベ-マイトゾルをポリスチレントルエン溶液に加え、ホモジナイザーにより乳化分散する際に、ベ-マイトゾルがポリスチレントルエン溶液に均一に分散せず、ほとんどのゾルがビーカーの壁面に付着してしまったためであった。
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