研究概要 |
初年度において,プラスチック材料のフレキシブルポンチで深絞りできる装置を試作し.金属材料で従来から行われている鉄系剛ポンチとナイロンの2種類のポンチを用いてポリプロピレン(PP)およびガラス短繊維強化ポリプロピレン(GFPP)材料(厚さ0.8mm)について深絞り試験を行い深絞り特性の比較を行った. 本論で述べた実験条件において,金属材料の深絞りと異なり直接しわ押えての深絞りはPPでは製品側壁部肉厚の減少する張り出し成形となり,GFPPではダイ肩部での破壊が起こり深絞りが行いにくかった.これが原因で静水圧を付加する成形ができなくなり,次年度ではウレタンパッド,ウレタンリングを用いた絞り加工に変更せざるを得なかった. しわ押えの代わりリングを使用しリング厚さ(ブランク材厚さより厚くする)を0.8〜9mmおよびしわ押え無しで行った結果,深絞りが可能となりしわ押さえリング厚さ6mmで最大深絞り深さを得た.また剛ポンチ(鉄)およびフレキシブルポンチ(ナイロン)での深絞りでは,製品的には殆ど差がなく,ポンチ荷重を50〜70%低減させることができた.次に,ポリプロピレン,厚さ0.8mmを試験片とし,ウレタンパッド,ウレタンリング法による絞り加工を行った.その結果,ウレタンを用いるため成形温度は70℃までで,パッド法では,水または油(ひまし油)を潤滑剤としてハイドラフィルム成形が有効である結果が得られたが,肉厚の制御は難しく板厚減少が見られた.ウレタンリングを用いた成形法では,板厚減少の少ない製品を得ることが分かり,プラスチック材料の深絞り成形にこの方法はかなり有効な手段であることが明らかとなった.ただしウレタンゴムを使用のためより高い温度での成形ができない欠点があり,耐熱ゴムの選択が課題である.
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