研究概要 |
Fe-20Cr-4Al、Fe-20Cr-4Al-0.1(Y,Pr,Gd,Ho,Ti,Zr,Ho)およびFe-20Cr-4Al-0.5(Y,Pr,Gd,Ho,Ti,Zr,Hf)合金について6分間で1250℃に昇温後5分間保持、20分間冷却(約50℃)を1サイクルとして10サイクルまでの高温サイクル酸化を行い、次の結果を得た。1.Fe-20Cr-4Al合金では冷却過程で酸化被膜は剥離し、6サイクル以降で質量変化量は低減しはじめた。一方、他の活性元素添加合金ではいずれの合金でも酸化被膜の密着性が改善され、サイクル数の増大とともに質量増加量は大きくなった。これらの中で特に0.1%Hfおよび0.1%Y添加合金の質量増加量が小さく、また0.5%Zr添加合金の質量増加量が著しく大きかった。2.酸化皮膜はいずれの合金でもおおむねα-Al_2O_3が支配的であったが、活性元素添加合金ではY_3Al_5O_<12>,PrAlO_3,GdAlO_3,Ho_3Al_5O_<12>,TiAl_2O_5,ZrO_2,HfO_2などが認められた。3.酸化皮膜形態はTiを除く活性元素添加合金でおおむね平滑であるが、Ti添加合金では凹凸を示した。4.以上のことから、Fe-20Cr-4Alでは酸化後冷却過程で酸化皮膜が剥離し、それが各サイクルごとに生じ、いわゆるhealingは認められないことを明らかにした。しかしながら、この理由については明かでない。Tiを添加した合金の酸化皮膜形態は凹凸を示した。このことはTi添加による酸化皮膜の密着性改善がその酸化皮膜の塑性変形能の増大に帰することが考えられる。他の活性元素添加合金の酸化皮膜形態はおおむね平滑であり、また酸化皮膜/合金界面では酸化皮膜が合金内に突き出していた。これらの酸化皮膜の密着性改善は主として酸化皮膜の成長方向の変化に伴う酸化皮膜中の圧縮応力の低減によるものと思われる。
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