研究概要 |
Ni-20Cr-1Si合金およびこれにY,Y_2O_3,CeO_2およびA1_2O_3をSputteringにより被履したNi-20Cr-1Si合金について,酸素中赤外加熱により1523Kまで6分間で昇温し5分間保持後20分間冷却を1サイクルとして100サイクルの高温サイクル酸化試験を行い,つぎの結果を得た。 1.Ni-20Cr-1Si合金では5サイクル以降で質量変化量が低減し始め8サイクル以降では負の値を示した。このことは合金上に生成した酸化皮膜の冷却過程における剥離に帰される。一方,他の合金の10サイクル後の質量変化量はいずれの合金でも正の値を示し,CeO_2-〈Y_2O_3-=Y-〈Al_2O_3-被履Ni-20Cr-1Si合金の順に増大した。 2.SEM観察よりY-およびY_2O_3-被履Ni-20Cr-1Si合金上の酸化皮膜はおおむね同様の形態を示し,微細な粒状酸化物であった。CeO_2-およびAl_2O_3-被履Ni-20Cr-1Si合金でも合金表面は粒状酸化物で覆われ,そのおおきさはY- = Y_2O_3- 〈CeO_2- 〈Al_2O_3-被履合金の順に増大した。Al_2O_3-被履合金では酸化皮膜の剥離も認められた。これらのことからY-およびY_2O_3-被履Ni-20Cr-1Si合金で高温耐酸化性が著しく改善されたことがわかる。 3.合金表面に生成した酸化皮膜はNi-20Cr-1Si合金ではNiOが支配的であり,他の合金ではいずれの合金でもCr_2O_3が支配的であった。Y-,Y_2O_3-,CeO_2-およびAl_2O_3-被履Ni-20Cr-1Si合金ではいずれの合金でも微量のα-cristobaliteが検出された。活性元素の被履がα-cristobaliteの生成に何らかの影響をおよぼすものと考えられる。
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