今年度の成果は以下のとおりである. 1.想定使用環境下での継手の劣化挙動 まず初めに、モリブデン単結晶同士をペースト状のMo-40%Ru-1%B合金を用いてろう付けした場合は以下の通りであった。ろう付け後、真空中、1773K×36ksの熱処理を施した。光学顕微鏡観察によれば、ろう付け層の組織は特に変化がなかった。ボロン無添加の場合、ろう付け継手は室温で延性を全く示さずに破断したが、ボロン添加した場合にはわずかながら延性を示し、またその時の破断強度も高かった。破断様相は、ボロン無添加に比べて第二相粒子の分布が微細になっていた。以上の結果は、少量のボロンがきわめて脆いMo-40%Ru合金の靭性を効果的に改善したことを示唆する。 つづいて、モリブデン単結晶と炭素系セラミックスのろう付け継手の場合は以下の通りであった。パラジウムと白金のいずれを用いても100MPa近くの比較的高い破断強度を示した炭素系セラミックスとモリブデン単結晶の組み合わせに対して、ろう付け後、真空中、1373K×36ksの条件で熱処理を施した。どちらの継手も著しく脆化し、熱処理前の強度の約50%程度になった。また、破断様相はほとんど変化がなかったが、局所的に破面の凹凸が少なくなる傾向が見られた。 2.成果のとりまとめ及び学術雑誌への投稿 研究成果は「研究成果報告書」にとりまとめた。また成果の一部は、現在、学術雑誌への投稿準備中である。今後の課題として、第一にMo-40%Ru-B合金をタングステン等の他の高融点金属に適用すること、第二にモリブデン単結晶と炭素系セラミックス接合について、継手強度のなお一層の改善のために高強度セラミックスを使用することが挙げられる。
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