近年、高炉各社においては、競って微粉炭の吹き込みを行い、その量は年々増加している。しかしながら、高炉の安定操業の観点から微粉炭吹き込み量は、150kg/THM前後であり、さらに吹き込み限界は、現在のところ約200kg/THMである。この限界量は、多岐にわたる問題が複雑に絡み合って、一つの吹き込み量を決めているものと思われるが、本研究では、燃焼反応に焦点を絞り、酸素プラズマの微粉炭高速燃焼への応用について検討することが目的である。 現在までのところ、TIG溶接用電源を改造したプラズマ装置は、ほぼ完成している。さらに、微粉炭の装入装置、高温ガス気流中へのプラズマ照射装置などの作成を行っている。 これらと並行して、プラズマト-チの電極消耗機構と微粉炭瞬間燃焼に最適なト-チ構造について検討した。電極の消耗機構については、タングステン電極中に、トリア、イットリア、ランタンなどの高融点酸化物を分散させたものを用い、その電極寿命を比較した。その結果、イットリアを分散させたものが最も寿命が長いことがわかった。さらに、電極消耗の機構については、アルゴン中に微量に存在する不純物酸素が、タングステン電極の消耗に関係していることがわかり、酸素濃度が数パーセントから数十パーセントまで増加した場合の影響について現在調査中である。
|