近年、各鉄鋼会社では、コ-クス炉の延命策や安価な石炭の利用などの観点から、羽口からの微粉炭吹き込みを行い、吹き込み量も年々増加している。 本研究では、微粉炭を最大限に燃やす方法として酸素プラズマに着目し、これを利用した場合の問題点とその高炉への影響について検討した。 酸素プラズマを用いる場合、もっとも問題となるのが電極の消耗である。このため、プラズマト-チの電極消耗機構について検討し、微粉炭瞬間燃焼に最適なト-チ構造について検討した。 電極の消耗機構については、タングステン電極中に、トリア、イットリア、ランタンなどの高融点酸化物を分散させたものが一般的に用いられている。それらの電極寿命を比較した結果、イットリアを分散させたものが最も寿命が長い。電極消耗の機構については、アルゴン中に微量に存在する不純物酸素でも、タングステン電極の消耗に関連していることがわかった。酸素濃度が数パーセントから数十パーセントまで増加した場合の影響について現在調査中である。 微粉炭を高炉羽口から吹き込んだ場合、最も大きな影響を受けるのは高炉炉下部である。炉下部の通気性を悪化させる最も大きな原因として、コ-クスの粉化が考えられている。本研究では、高炉一次元の数学モデルを用いて、炉下部コ-クスのガス化反応率分布の評価を行った。微粉炭を吹き込むことによって水素濃度は、7%前後に増加する。このため水蒸気によるガス化反応が非常に多くなり、炉下部における反応率分布が大きく変わることを明らかにした。
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